Filed under: スペシャル — admin @ 17:25:55


今回のゲストは、(協)日本映画製作者協会(Japan Film Makers Association)
代表理事の新藤次郎さんです。プロデューサーとしても新藤兼人監督作品の他、
数多くのインディペンデント映画を製作されています。

日本映画製作者協会(日映協)とは・・・
独立系の映画及びビデオ製作者によって構成されている協同組合で、主として組合相互扶助の精神のもと共同事業を行う目的としています。前身は日本映画独立映画協議会であり、新しい時代に対応するために新規メンバーを集め、19953月に設立されました。大手映画会社による製作本数が減少している現在、日本映画の大半の製作に日映協加盟社が関わっている現状です。現在、約60
社が加盟しています。

主な加盟社:オフィス・シロウズ/アルゴ・ピクチャーズアルタミラピクチャーズ近代映画協会GoGoビジュアル企画シグロシネカノン/フィルムフェイス/プルミエ・インターナショナルマウンテンゲートプロダクションミコット・エンド・バサラ虫プロダクションレジェンド・ピクチャーズ


「インディペンデント」であり続けるために

S(シロウズ)
まず、日本映画製作者協会(以下、日映協)の理念を教えてください。

J(新藤次郎さん)
日映協の基本理念の柱は映画製作(制作)の「地位向上」と「環境整備」、大きく言えばその2つですね。

S
具体的にはどのような?

J
地位向上という意味では今までいろいろな提案をしてきて、映画が「文化芸術」として明文化されたというのは一つの地道な活動の成果かなと思っています。

S
ええ。

<映画界、環境整備の重要性>

J
環境整備でいうと、著作権の扱いということも含まれるし、現場で働くフリースタッフの身分保障や社会的な認知度などを全部含めて、団体保障の保険を始めたということが、それにあたるかな。

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S
いわゆる映像製作傷害保障制度ですね?

J
あの保険制度だって、足かけ2年くらいかかってるから。

S
もう始まって10年以上ですよね。

J
昔はフリーのスタッフとプロダクションの社員スタッフが一緒に働く時の、身分保障の違いがある中、現実的には傷害事故が起こっても、フリーだとそれが労災認定されないという事態だったのね。今でこそ、労災認定されるように実例がでてきたけど、その時はそんなことはなくて。

S
そんな状況だったんですね。

J
だから自衛の手段として、我々も少なくとも仕事現場で傷害事故が起きた時にセイフティネットをつくる必要がある、というのが団体傷害保険を作ろうと思った動機だったの。

S
なるほど。

J
一緒に働いてくれるスタッフに迷惑もかけたくないし、重大な事故があったときの保障がスタッフへも製作プロダクションへも何もないというのを改善しないかぎり、社会的地位にも問題があると。

S
そうですね。

J
今は、この団体傷害保険があるから日映協に加入したいという団体もあるので、それだけ社会的ニーズがあると思っています。

<映画の著作権とは・・・>

S
著作権についての取り組みに関してはいかがですか?

J
映画著作権についての話し合いと提案については、日映協は行政や同じ職能団体あるいは著作権団体とも協議をするというスタンスになっているから、大きい方針が出ていると思ってます。

S
方針というと?

J
日映協の総意としてあるのは「創作したことに対する価値」を契約の中や著作情報の中で明記するようにしたいということ。

S
ええ。

J
それから、僕らはプロデューサーの集まりだから、映画の「内容」と「経済」について責任を持たなければならない。映画を作るのは「志」と「創意」と同じように「資金」ということがどれだけ重要な役割を果たしているのか、熟知している。それに苦しんでいると言ってもいいかもしれないくらい(笑)

S
はい。(笑)

J
資金の重みを充分に分かっている団体であるからこそ、資金を出すリスクに対する権利はこうあるべきだとわかる。だけど、資金だけでは映画はできない。
創作行為があって初めて映画になるわけだから、イーブンという意味ではなくて、もう少し創作者チームに対するインセンティブがあってしかるべきだと思うし、そこに対する一般的な地位向上は図るべきだと思う。

S
ええ。

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J
完成した映画の「内容」への対価は評価だったり、名誉だったりするけど、「経済」の対価として創作に寄与した人間が成功報酬という形で利益の配分を受けていいという意味ね。
一律的に職能によって権利がこうあるべきでという議論ではない。

S
なるほど。

J
その結果、出てくる理屈としては、今の日本の映画著作物に対する概念である「ドキュメントの著作物を映像翻案化した“二次的著作物”だ」という位置づけが間違いじゃないかと。(注:「ドキュメント」とは原作・脚本・音楽のスコアなど)

S
映画が二次的著作物・・・

J
映画は独立した著作物であるべきだ、と。今のこの21世紀の映像の時代に、ドキュメントの著作物を映像翻案化した二次的著作物が映画だという位置づけ自体がアナログでおかしいと。なかなか理解はされないけどね。

S
う~ん。

J
原著作権者(注:原作者・脚本家・音楽家)はなぜ権利をもっているかというと、ドキュメントの著作物が別途にあるから。そういうものは一つの映画を作るために集まったプロジェクトなんだから(権利は)イーブンだろうと思う。でも、今の著作権法だとそうはならない。「映画は二次的に発生した著作物だから、ただ単にカメラで映像にしただけだ」とそうそういう扱いですよ。おかしいよね。そういう素朴な疑問もあるし、利用の際に協議もなく自動的に承諾金が生じるというのもおかしい。          
今の権利処理の難しくなっている根拠はここにある。

S
ええ。

J
外国は違うよ。派生はしているけど、独立した新たな著作物。

S
アメリカなんかはそうなんですよね。

J
こういうことが、ほとんどの映画スタッフにも業界にも認知されていないし、
知らない。遅れているとしか思えない。

S
確かにあまり知られてないですね。

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J
権利者団体と呼ばれるところはそれぞれが個別に権利を強化しようとしている。
だけど、それぞれが自分の都合だけを言っているときに、そもそも映画著作物が一次的著作物でないというのが問題。この状況を変えていきたいけど、議論にならない。  

S
なるほど。

J
特別に問題視もしてない。そのまま受け入れられている。既得権で定着しちゃってるから。こういうことを映像に関わる教育機関で教えているかというと、教えてもいないんですよね。本来は著作権に対するしっかりとした意見を業界全体で持つべきだと思う。

S
著作権は日映協としては核となる問題ですよね。

J
核ですね。環境整備も地位向上も横断的に全部含んでいる。

S
日映協の活動も全部関連してますよね?

J
そうですね。

<後半へ続く・・・>

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