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【桃まつり】から、監督の竹本直美さん、矢部真弓さん、
主宰の大野敦子さんにお越しいただきました。

【桃まつり】は2006年映画美学校卒業生の女性有志により始まった、映画の企画・製作・宣伝・上映までのすべてを監督で行う集団です。
今年で3回目を迎え、2週間のレイトショー上映で1500人の観客動員数をあげ、
海外映画祭ニッポンコレクションで上映されるといった活躍ぶりです。

東京での公開が終わり、これから大阪上映に突き進む【桃まつり】の皆さんに
【桃まつり】流自主映画製作・上映、そして今後の展望などを聞きました。

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齊藤(以下S)
3年目にして、2週間で1500人動員すごいですね。おめでとうございます。
東京での上映が終わっての感想を聞かせてもらえますか?

大野(以下O)
やった!やりきった!

矢部(以下Y)
すごい人だったです。びっくりしました。

(一同笑い)

O
前年も観客動員数が1000人を越えたので、今年もそれくらいは行けたらいいなと思っていたんですけど。すごくみんなが頑張って宣伝をしたのと、プラスちょっとずつ「桃まつりってなんかあるらしい!」という風に思ってくれる方が増えてきていて、その相乗効果で蓋をあけたらもっと来てくれた。

【桃まつり】のはじまり

S
【桃まつり】は2006年に映画美学校卒業生の女性有志により始まったと聞きましたが、女性だけで始まったきっかけは何だったんですか?

O
卒業してからもずっと卒業生たちでお酒を飲んでたんです(笑)。
「そろそろ飲み会以外にもなんかやろうよ」と言い始めた時にいたのが、たまたま女の子だけで。

もう一つ同時期に「十善戒」という男性監督によるオムニバス映画を竹本さんが企画していました。その女性版という思いもありました。
ただ女子だけでやろうという深い戦略的なもので始まったわけではありません。
本当は女子とか男子とかあんまり関係ないです。

松田(以下M)
戦略的じゃない、そこが良かったんじゃないの。

普段は商業映画のプロデューサーとして映画製作に携わっている大野さんが、自主映画の【桃まつり】の主宰になった理由を教えてもらえますか?

O
仕事として商業的にやってる監督たちと接するようなって、
私のまわりの人たちもイケるんじゃないかと思い始めたんですよね。
素人かもしれないけど「全然面白いじゃないか!」て。
まだまだ私にはお金を集める力もないけど、自由にやれるのだったらやってみたいって思いがあって始めたんです。

参加したい人必見!【桃まつり】の参加の条件とは!?

M
毎回9~12人の監督たちが参加していますが、【桃まつり】の監督になるための条件はあるんですか?

O
20~25分くらいの短編を撮れる方。あと撮った後の宣伝活動がものすごい大変なんですよ。自分たちでチケットを手売りするし、マスコミに電話もかけるしDVDも送る。そこまで含めてやりたい人。

S
前々回の第1弾は大野さん、竹本さんの同級生によるメンバーでしたが、前回と今回の監督たちは今までのメンバー以外、そして同級生以外の方々でしたね。
監督はどうやって選出したのですか?

O
前回までは竹本さんと木村有理子さん(桃まつりpresents真夜中の宴「daughters」監督)と私で「監督はこの人にしよう」と決めていました。

自分自身も映画美学校の卒業生なので、今回は美学校まわりの人から「こんな面白い人がいる」という情報を集め、事前に短編を見させていただいて、「ああ、面白いな」と思った方に声をかけるという形でした。
だからもともと面識があった方はそんなにいないんです。
今年意識したのは、東京以外の場所から監督を呼びたいということ。それで大阪で活動している山崎都世子さん(「たまゆら」監督)に声をかけました。山崎さんは、昔売り込みをしてくれた数少ない人なんです。

M
【桃まつり】に?

O
ではなくて、私の会社に「こういう台本があるんだけど」とわざわざ大阪から会いにきてくれた人だったんです。その後も活動を見ていて。なかなか地方にいる人とこういうことをするのはリスキーだと思うんですけど、山崎さんは頑張っていきたいという思いが強い人です。この人だったら一緒にやりたいなと思って。

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S
(矢部さんに)最初声をかけられた時、矢部さんはどうでしたか?

Y
去年撮っていた人は、学校の卒業制作に選ばれている人だったり、脚本家だったり何かしら実績がある人だったので「なんで私に声がかかったんだろう?」と思いました。

O
矢部さんの短編を観たら、一番わけがわからなかった。
「あれ、なんだろうこの人?」という思いがすごくあって。
そういう人がいたら面白いじゃないかなって思ったんです。
結構賭けではあったんですが(笑)。

テーマ

S
今年は初めて作品に共通するテーマを設けていますが、なぜ「kiss!」だったんですか?

O
監督が決まったところで、千本ノックをやって、たくさん案は出したんです。
歌を入れるとか。

Y
「秘密」とか。

O
前の年までは共通テーマがなかったんですよ。
でも【桃まつり】という名前と、女性監督というところでやっぱり女性が撮った恋愛とかエロを期待する人が非常に多かった。結果中身がほとんどそうじゃなかったんですが(笑)。
たぶん、女性で恋愛とかを撮りたい人は実はいないのかもな、と思ってた。
最終的に「kiss!」に決めたのは、「せめてテーマくらいそうしてみたらどうなるかな?」と思ってみたから。でもやっぱりダメだった(笑)。
観ていただくと分りますが、「真っ向から『kiSS!』を撮らないぞ」という意志が感じられます。

(一同笑い)

S
黒沢清監督のコメントにも
「甘酸っぱさや気楽さをあてにした観客はひどい目にあうだろう」
とありましたね。
私もかわいらしいビジュアルと、「kiss!」というテーマに騙された口です(笑)。
監督たちで、「各々こういうストーリーを撮ろう」て話合いはなかったんですか?

O
はい。でも撮影前にみんなの脚本は読んでるんだよね。

Y
締切を何回か決めてプロット、シナリオを持ち寄って、お互い読んで「こここはこうした方がいいんじゃないの」とか色々言いあったりしてたんです。
その時点でみんながどういう話をやるのか分ってたんですが、「誰か恋愛ものやらなくちゃダメなんじゃないの?」という話にいかなかった。
みんな勝手にそれぞれやりたいことをやった。

S
その点はどうだったんですか、大野プロデューサー?

O
まあ、それでいいんじゃないですか。

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(一同笑い)

S
今後も【桃まつり】はテーマを決めてやっていく感じですか?

O
見せ方なんですよね。
監督自身もまだまだこれからの監督たちだし、「女性」で「短編」てだけだとつまらない。
「何やってるの?」「キス撮ってます!」とか言えるものがある方が、見やすいかなと思います。

いかに見せるか

S
第1弾は映画美学校試写室で1日だけの上映でしたが、第2弾からは大阪、名古屋、高知まで地方上映をやってますね。
【桃まつり】は作品を撮るだけではなく、上映活動も熱心ですよね。やっぱり「見せなくちゃいかん」という思いですか?

T
上映をしたいという思いは、塩田さんの自主製作作品の上映会を企画したのが始まりだったんです。
最初は単純に「自分が見たい、でもDVDを借りてみるのもなんだしスクリーンで見たいな」と思って企画したんですけど。
その時に、結構お客さんが集まったんです。
アンケートをとったら「こういう作品を見る機会がないから、上映してくれてありがとう」というメッセージが非常に多かった。
塩田さんご自身からも「やっぱり映画っていうのは、上映してもらって初めて映画として成立するんだ」という有難い言葉をいただいて、「そうか映画って上映しないといけないんだなあ」と実感しました。

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S
だから積極的に地方上映を行っているんですね。
5月23日から大阪上映が始まりますが、自分たちの活動範囲ではない、東京以外での地域で自主映画を上映するのは大変ではないですか?

T
去年はあまりお客さんがこなかったんです。今年はそれがないようにと思って事前に何回か大阪に足を運んだりしてるんですが、なかなか難しいですね。

M
大阪に行ってどういう宣伝活動をしたんですか?

T
ちょうど大阪アジアン映画祭の時で、映画祭の運営局に紹介してもらってマスコミの方々にプレス試写の案内・リリースを送らせてもらったり、新聞社の方を紹介していただいたり。
あとは打ち上げの場でチケット売らせてもらったり、大阪の自主製作・上映している人たちと交流を持ったり。
地道な活動なんですけど、会って話をするとマスコミの方たちだけでなくそういう人たちと交流をもつのも大事なのかなと感じました。

M
お互いに「この人がやってるんだ」と実感があるかないかって全然違いますよね。監督たちがみずから来てくれるってなかなかないですよ。

T
本当にそう思います。去年行かないで丸投げしてたら、それがやっぱり集客に反映しちゃったのかなって。

<後半へ続く・・・>

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竹本直美
『夜の足跡』(01/万田邦敏)に製作助手として参加。その後、数々の自主映画にスタッフとして参加し、2006年万田邦敏監督とともに映画上映会「十善戒」を主催。2007年「桃祭」で『明日のかえり路』を初監督、翌08年「桃まつりpresents 真夜中の宴」では『あしたのむこうがわ』を続けて発表する。2008年「Canadian Docu Days-知られざるNFB/ONFドキュメンタリズム」企画上映運営スタッフとして参加。
 
矢部真弓
1980年茨城県出身。Vシネマ、TVドラマ等の制作部として「新 日本の首領」シリーズ1~3、「怨み屋本舗~家族の闇/モンスター・ファミリー」(テレビ東京)等に参加。また、学生映画や自主制作映画の美術部として、『ちえみちゃんとこっくんぱっちょ』(監督・横浜聡子)、昨年の桃まつりの1本『みかこのブルース』(監督・青山あゆみ)等に参加している。
 
大野敦子
1975年神奈川県出身。2000年よりユーロスペース製作部に所属。「demonlober」(02/オリヴィエ・アサイヤス)日本パート撮影にプロダクションマネージャーとして参加。その後「ミュージック・クバーナ」(03/ヘルマン・クラル)などコンスタントに海外作品の日本パート制作を行う。一方でベネチア国際映画祭参加作品「稀人」(04/清水崇)、「パピリオン山椒魚」(06/冨永昌敬)、などの邦画の制作にも関わる。近作は、「Tokyo! Merde」(08/レオス・カラックス)をプロデュース。「パンドラの匣」(09/冨永昌敬)、「ランニング・オン・エンプティ」(09/佐向大)が公開待機中。昨年の桃まつりでは「granité」、「感じぬ渇きと」を監督する。

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