森達也監督vs塩田明彦監督
2005/04/24更新
at 渋谷アミューズCQN 4月9日(土)
オウムの中にキャメラを持って飛び込んだ、ドキュメンタリー『A』『A2』の監督、森達也監督をお迎えしてのトークショー。残念ながら、限られた時間では「オウム問題と表現」について鳥羽口にさしかかったところで、おしまいになってしまいました。文字情報のみで話半ばのものをお読みいただくと誤解も招きやすいという判断から、ホームページでご紹介することは控えさせていただきます。申し訳ありません。
森監督からは「オウムをフィクションにしていくために2段階の障壁があります。オウムに対して違う視点から光を当てるのはタブー。これは僕の『A』『A2』のときがそうでしたが、信者にもこういう悩みがあるとか、社会の側にも歪みがあるんではないか、といったことはマスメディアのレベルにおいては、なかなか許されない。反発をくらう、という障壁があります。
次の段階の障壁、本来はこちらのほうが本質的であり手強いのだけど、オウムそのものがまだ終わってない、ということ。裁判が進んでいるとか、指名手配犯が捕まってないとか、そういうレベルじゃなくて、いまだにオウムは渦中なんです。ポストになっていない。まだ終わってない事件をフィクショライズするという作業は相当にしんどい。というか、通常の手法では不可能です。
そういう障壁がある中での視点のひとつは、やっぱり「家族」だと思います。塩田さんは今回、それに取り組んだわけですね。観終えた後の感想を思いきり簡潔に言えば、「やっぱり、そうきたか」です。『A』という僕の作品も、隠れテーマは家族です。組織共同体が宿命的に抱える負のダイナミズムに対して、家族という最も初原的な共同体が紡ぐ神話性との相克。これは他者への情愛と不安という相反する要素の軋みでもあるんです。たぶんね、これしかないと同時に一番ハードな部分に、塩田さんは挑んだんだな。そこに僕は感動します」とのお言葉をいただきました。
また、「主演の二人にすごくエロチシズムを感じた」との感想には塩田監督が「そうなってくれたのは結果としてよかった。光一と由希の関係がエロチックに匂いたってくるというのは、二人が「生きてる」ということだから」と応えていました
企画/オフィス・シロウズ 製作/オフィス・シロウズ/衛星劇場/バンダイビジュアル
配給/シネカノン *日本映画エンジェル大賞受賞作品
2004年/132分/カラー/1:1.85
(C)2004『カナリア』製作委員会