『カナリア』公式サイト 監督の部屋 03
2005/04/02更新
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COMPOSITE vol.3 April 2005号に掲載されたテキストをCOMPOSITE誌のご好意によって転載させていただくことができました。ありがとうございます。
『害虫』完成直後、ナンバーガールのCDを聞きながら、真夜中の還七沿いを歩いていた私の脳裏に突如、驚くほど殺気に満ちた眼で闇夜を疾走する少年の姿が思い浮かんだ。凶暴で、深い闇をはらんだその瞳を私はどこかで見たことがある。思い出したのは、オウム真理教の施設から強制的に保護された少年たちが報道カメラを睨みつける、あの瞳だった。
再び01.に戻るが、脚本を完成して間もなくナンバガ解散後の向井(秀徳)さんからZAZEN BOYSサンプルCDが届いた。私は収録された『自問自答』を聴き、深い衝撃を味わった。それはまさに『カナリア』の世界を歌っているように思えた。地を這い、のたうちまわる魂の叫び。私はこの曲を、映画の主題曲に選んだ。
事件当時、オウム道場近くにあった私の住処の郵便受けによく投げ込まれていた冊子類。
題名を『カナリア』と決めた後、松田広子プロデューサーからもらった鳥細工。脚本執筆中の私の机の上を、色鮮やかに飾ってくれた。
約一年間に及ぶ脚本執筆の間、ともすれば精神のバランスを崩しかける私の心を支えてくれた勝新太郎主演『座頭市』DVDボックス全20作。他に市川雷蔵主演『眠狂四郎』全12作、『大魔神』全3作等々にも随分とお世話になった。
特に『スウォーズマン/女神復活の章』は何度見直しても絶大なる興奮と刺激を私に与えてくれる。
梶芽衣子扮するひとりの女が復讐の女神と化して刑務所を生き延び、裏切り裏切られながら脱走し、地獄の娑婆をも生き抜いていく。
私はロベルト・ロッセリーニ監督から、理知的であることが即ちエモーショナルでもありうるような世界の掴まえ方を学んだ。『ストロンボリ』『イタリア旅行』は中でも好きな作品。
『カナリア』に映画の天使が味方についてくれた。小津安二郎監督や清水宏監督の映画にも主演した無声映画時代の大スター、井上雪子さんが映画への出演を快諾し、見事な存在感を披露してくれたのだ。写真の折り紙は、尻尾を引っ張ると羽ばたく鳥の折り紙で、井上さんに手元を見ずに折れるよう練習して頂いたときのもの。
COMPOSITEvol.3 April 2005号好評発売中。
企画/オフィス・シロウズ 製作/オフィス・シロウズ/衛星劇場/バンダイビジュアル
配給/シネカノン *日本映画エンジェル大賞受賞作品
2004年/132分/カラー/1:1.85
(C)2004『カナリア』製作委員会