Staff

監督 塩田明彦(しおた あきひこ)

塩田明彦

1961年9月11日、京都府生まれ。劇場公開映画デビュー作となった『月光の囁き』で、ゆうばり国際冒険ファンタスティック映画祭では審査員特別賞と南俊子賞をダブル受賞。同年公開された 『どこまでもいこう』ではナント三大陸映画祭審査員特別賞を受賞。この2作品でデ ビューした99年度に国内の映画賞の新人賞を総なめにし、日本を代表する映画作家として期待を集める。デジタルビデオ作品「ラブシネマ」シリーズ第五弾として撮られた 『ギプス』に続く『害虫』は、2001年ヴェネツィア国際映画祭 「現代映画部門」正式出品、ナント三大陸映画祭「コンペティション部門」で審査員特別賞、主演女優賞(宮崎あおい)をダブル受賞する。2002年の『黄泉<よみ>がえり』は主演に草なぎ剛と竹内結子を迎え、興収30億を超える大ヒットを記録。

製作 佐々木史朗(ささき・しろう)

1939年、大連生まれ。TBS演出部を経てテレビ番組製作会社東京ビデオセンターを創設。1978年からはATG代表を兼務、1995年オフィス・シロウズを創設、一貫して新人監督作品の製作にあたる。代表作に『ヒポクラテスたち』(80/大森一樹監督)、『ガキ帝国』(81/井筒和幸監督)、『遠雷』(81/根岸吉太郎監督)、『家族ゲーム』(83/森田芳光監督)、『転校生』(82/大林宣彦監督)、『20世紀ノスタルジア』(97/原将人監督)、『ナビィの恋』(99/中江裕司監督)、『ごめん』(02/冨樫森監督)、『笑う蛙』(02/平山秀幸監督)、『ホテル・ハイビスカス』(02/中江裕司監督)、『アンテナ』(05/熊切和嘉監督)など。

プロデューサー 松田 広子(まつだ・ひろこ)

1960年、東京生まれ。「Studio Voice」「SWITCH」の編集者を経て、94年よりフリーランスとなり、同年、篠崎誠監督作品『おかえり』にプロデューサーとして参加。98年に開校した映画美学校を母体に『大いなる幻影』(99/黒沢清監督)、『アカシアの道』(00/松岡錠司監督)などを手がける。03年にオフィス・シロウズにて熊切和嘉監督作品『アンテナ』をプロデュース。塩田明彦監督との仕事は、『どこまでもいこう』(99)、『ギプス』(00)に続く3作目。本作企画で第2回日本映画エンジェル大賞受賞。

撮影 山崎 裕(やまざき・ゆたか)

1940年、東京生まれ。日本大学芸術学部映画学科卒業後、フリーの撮影助手を経て、65年長編記録映画『肉筆浮世絵の発見』(中村正義、小川益夫)でフィルムキャメラマンとしてデビュー。以後ドキュメンタリー、CM、記録映画などで活躍。主な作品にネイチャリングスペシャル『印度漂流』(94/演出兼務/文化庁芸術作品賞、ギャラクシー奨励賞)、『20世紀黙示録 ものくう人々』(名古屋テレビ/深作欣二演出/ATP97グランプリ受賞)、『なぜ隣人を殺したのか ルワンダ虐殺と扇動ラジオ放送』(NHK/五十嵐久美子演出/98イタリア賞グランプリ、ATP98優秀賞)、映画では是枝裕和監督作品で『ワンダフルライフ』(99)、『ディスタンス』(01)、『誰も知らない』(04)、河瀬直美監督作品で『沙羅双樹』(03)などがある。また86年に、ドキュメンタリージャパンに役員として参加。撮影だけでなくプロデューサー、ディレクターとしても作品に関わる。2000年にはキャメラマン・田村正毅氏、猪本雅三氏、照明の佐藤讓氏とのコラボレーションによる監督のいないオムニバス映画『TAMPEN』に参加し、『Share』を担当した。

Comment

現場での塩田監督はもっと決め込んで臨んでくると思っていたんです。いや、決め込んでは来るんだけど、リハーサルをしたときに、相当具体的な行為まで指示したかと思うと、それをいったん壊して、また別のやり方で具体的に指示する。そのうえで、現場では役者の反応を取り込みつつ、もう一度発見していくという作業をしている。それは僕に対しても同じで、キャメラの割り方でも、コンテは決まっていても、こういう方が面白いんじゃない? という意見がでてくるととても柔軟なんです。その点は驚きましたね。
(劇場用パンフレットのインタビューより一部抜粋)

照明 佐藤 讓(さとう・ゆずる)

1948年、東京生まれ。77年、村野鐵太郎監督作『月山』でデビュー。主な作品に『ヒポクラテスたち』(80/大森一樹監督)、『さらば愛しき大地』(82/柳町光男監督)、『逆噴射家族』(84/石井聰亙監督)、『Helpless』(96/青山真治監督)、『2/DUO』(97/諏訪敦彦監督)、『蛇の道』(98/黒沢清監督)、『ワンダフルライフ』(99/是枝裕和監督)、『シェイディー・グローブ』(99/青山真治監督)、『ランデブー』(00/山本浩資監督)、『EUREKA』(01/青山真治監督)、『美しい夏キリシマ』(02/黒木和雄監督)、『沙羅双樹』(03/河瀬直美監督)等。2000年には名コンビのキャメラマンたち、山崎氏、田村氏、猪本氏とのコラボレーション『TAMPEN』のなかの一編『kyoko』を担当。ますますの活躍が期待されていたが、2005年2月24日に逝去された。

Comment

最初に撮影の山崎さんと話し合ったのは「あまりライティングをしない方向でいこう」ということでした。いま、カメラは感度がいいから、夜はライトを当てなくとも問題ないのです。むしろ、燦々と降り注ぐ日中の光をどう遮っていくか、そのことに時間と手間をかけた作業となりました。全体に救いのない方向に持っていく作業は精神的につらくもありましたが、そんななかにふと温かさの滲み出るシーンが好きです。自分で一番好きなのは、夜のバスのなかのシーンかなぁ。バスの車中の照明と、外の道の光の案配がすごく気持ちがいいんです。

録音 郡 弘道(こおり・ひろみち)

映広音響(現・EIKO)勤務の後、録音技師・井家眞紀夫氏、川田保氏に師事。86年、須川栄三監督作品『蛍川』よりフリーとなる。主な作品に『右向け左!自衛隊へ行こう』(95/冨永憲治監督)、『WiLD LIFE』(97/青山真治監督)、『CURE』(97/黒沢清監督)、『カオス』(00/中田秀夫監督)、『ウォーターボーイズ』(01/矢口史靖監督)、『アカルイミライ』(03/黒沢清監督)、『ドッペルゲンガー』(03/黒沢清監督)などがある。

Comment

映画作品の想いを音で表現をする時、すれ違いを起こさないように音を組み立ててゆくのがFDB(フィルムダビング)という作業です。ダビング作業は行方が定まらないままに進行したように思いました。それは劇中で目的のある旅をする主人公と同じ様に音の構成も旅をしていたのかも知れません、音づくりは監督の想いが反映されたものであり、スタッフはそこに参加するものですが、この『カナリア』は私にとってはハードルが高かった作品でもあります。塩田監督に就いてゆく事でいっぱいでしたから。監督は偉大です。

美術 林 千奈(はやし・ちな)

1969年、東京生まれ。93年頃から映画美術、装飾に携わり、99年諏訪敦彦監督作品『M/OTHRE』でデザイナーに。主な映画作品に『タイムレスメロディ』(00/奥原浩志監督)、『人間の屑』(01/中嶋竹彦監督)、『棒』(01/中村和彦監督)、『刑務所の中』(02/崔洋一監督)、『ヴァイブレータ』(03/廣木隆一監督)、『アンテナ』(04/熊切和嘉監督)など。諏訪敦彦監督や是枝裕和監督など、海外からも評価される監督の作品に多く参加している。

Comment

「ニルヴァーナ」をどう表現するか?というのが、やはり最初に台本を読んだ時に考えた事だった。しかし、次第にニルヴァーナの施設(シャングリラと撮影時私達は呼んでいた。)と、その外の世界は光一達子供にとって、どちらも同じ現実であり、正反対なものでもないという考えにまとまった。施設の中は特別現実ばなれした世界にはせず、ただ監督の「白」というイメージは大切にした。
外の世界だけに、花の香りがする訳でもなく、それは白いバリケードの中にも流れていった事だろう。子供達を取り巻く世界が、暖かくはないが、決して敵でもない事を考えつつ取り組んだ作品でした。

編集 深野俊英(ふかの・としひで)

1966年、神奈川県出身。横浜放送映画専門学校(現・日本映画学校)在学中、『バナナシュート裁判』(89/佐藤闘介監督)に共同編集で参加。卒業後、菅野順吉氏に師事。テレビ番組などの編集助手を務め、後にフリーとなる。主な作品に『PAIN/ペイン』(01/石岡正人監督)、『溺れる魚』(01/堤幸彦監督)、『コンセント』(02/中原俊監督)、『昭和歌謡大全集』(03/篠原哲雄監督)、95年『BOXER JOE』をはじめに、『傷だらけの天使』(97)、『愚か者・傷だらけの天使』(98)、『顔』(00)『KT』(02)『この世の外へ クラブ進駐軍』(04)など阪本順治監督の作品を多く手がけている。

Comment

この作品の編集での話と言えば何種類も違うバージョンを作ったことでしょうか? その違いとは、回想シーンの入る場所です。その印象の強烈さが映画をそれ以前とそれ以後に分断していました。インパクトを弱くしないで流れを良くするにはどうしたらいいだろう? 元々の台本の場所からあっちへ入れてはチェックし、こっちへ入れてはチェックし、ディスカッションを重ねてはまた移動して。繰り返し繰り返し……回想シーンのないバージョンまで作りました(その場で却下になりましたが……)。チェックのたびに新しい発見をし、締め切りギリギリにあるアイディアが降りてきて、ようやく今の形にたどり着きました。二度目、三度目にご覧になる方は私に降りてきたアイディアがどんなモノか?とか、もっと良い回想の入れ場所とか探してみて下さい。

衣裳 宮本茉莉 (みやもと・まり) 

1965年、福岡県出身。文科服装学院を卒業後、フリーのスタイリストへ。 CM、ファッション誌(SPUR)等を経て、『星をつぐもの』(87/小水一男)で映画の衣裳を初めて担当する。それが運命的な出合いとなり、今や多くの日本映画の衣裳担当として活躍中。主な作品に 『学校の怪談』シリーズ、『秘密』(99/滝田洋二郎監督)、『OUT』(02/平山秀幸監督)、『美しい夏キリシマ』(02/黒木和雄監督)、『ホテル・ハイビスカス』(02/中江裕司監督)、『OLDK』(04/原正弘監督)、『父と暮せば』(04/黒木和雄監督)、『鉄人28号』(05/冨樫森監督)、『フライ,ダディ,フライ』(05公開予定/成島出監督)など。

Comment

あんまり考え抜いて決める方じゃないのでわりとカン頼りです。
そのカン!がはたらきやすい衣裳合わせでした。
ただ緑が印象的なロードムービーだとおもったので、草に負けない
二人の輝きが残ればいいなあとだけ思ってました。
リアルにおちないポエジーかな。

ヘア・メイク 細川昌子(ほそかわ・まさこ)

1972年、東京生まれ。主な作品に『溺れる魚』(01/堤幸彦監督)、『GO』(01/行定勲監督)、『ロックンロールミシン』(02/行定勲監督)、『ラヴァーズ・キス』(03/及川中監督)、『2LDK』(03/堤幸彦監督)、『きょうのできごと』(04/行定勲監督)、『世界の中心で、愛をさけぶ』(04/行定勲監督)、『愛してよ』(04/福岡芳穂監督)、『グレイハント』(05公開予定/李相日監督)、『Loft』(05公開予定/黒沢清監督)など。塩田作品への参加は『ギプス』(01)、『害虫』(02)、『黄泉がえり』(03)につづいて本作で4作目となる。

Comment

『カナリア』でのヘア・メイクのテーマとしては、ドキュメンタリーを見ているような自然な時間の経過を感じさせることでした。関西の児童相談所を脱走し、何日も歩き続けて東京に向かうという過程での汚れや乱れ、難しい課題でした。観ていて、不自然ではなく、作品のストーリーと自然に調和ができていれば、そしてリアルさよりも、効果的な味付けになれば…と思います。

制作担当 中村哲也(なかむら・てつや)

1956年、静岡県出身。79年、TVドラマで進行デビュー。その後、食えるがつまらないTVから、面白いが食えない映画の世界へ。主な作品に『ELECTRIC DRAGON 80000V』(01/石井聰亙監督)、『五条霊戦記』(00/石井聰亙監督)、『美しい夏キリシマ』(02/黒木和雄監督)、「私立探偵濱マイク」(02/TVシリーズ、石井聰亙、行定勲、利重剛、アレックス・コックス各監督篇)、『レイクサイド マーダーケース』(05/青山真治監督)、『エリ・エリ・レマ・サバクタニ』(05公開予定/青山真治監督)など。

Comment

ロケハンをしていて、「オウムの話はお断り」という答えが多くて大変でした。「映画的に宗教は描いても、けっして宗教的な映画ではない」といっても、撮影現場を見れば、ヘッドギアの少年が走っているわけですから。つまらない嘘はつけないわけで、ごまかしのきかない交渉はしんどかったですよ。上九一色村では、「事件を風化させたくない」人たちと「忘れたい」人たちの間に立って、複雑な気持ちでしたね。

音楽 大友良英(おおとも・よしひで)

1959年、横浜生まれ。ターンテーブル奏者/ギタリスト/作曲家として、日本はもとより世界各地でのコンサートやレコーディング等、常にインディペンデントなスタンスで活動し、多くのアーティストとコラボレーションを行っている。また、映画音楽家としても、数多くのサウンドトラックを手がけ、ベルリンをはじめとした多くの映画祭で受賞、高い評価を得ている。主な映画音楽作品として『青い凧』(93/田壮壮監督)、『ピアス』(97/安藤尋監督)、『あ、春』(98/相米慎二監督)、『dead BEAT』(99/安藤尋監督)、『風花』(01/相米慎二監督)、『コンセント』(02/中原俊監督)、『ごめん』(02/富樫森監督)、『アイデン&ティティ』(03/田口トモロヲ監督)、『blue』(03/安藤尋監督)などがある。

Comment

(脚本段階では)エンディングは静かに終わる終わり方と、いきなり巨大な石ころを投げるような終わり方のどちらがいいだろうかと考えていました。監督は後者を選んで、「自問自答」を持ってきたんです。ただその時僕にはまだ、ラストにどうしてその曲がぴったりなのかが理解できていなかったので保留にさせてもらいました。でも画ができあがった段階でつけてみたら、参った! はっきりと監督の意図が伝わってきましたね。
(劇場用パンフレットのインタビューからの一部抜粋)

イメージ・ソング 浜田真理子(はまだ・まりこ)

島根県松江市在住。98年暮れ地元の個人レーベルよりリリースされた1stアルバム「mariko」が口コミで広がり、一部の外資系CDショップの試聴機で話題となって500枚が瞬く間に完売する。2000年の再発をきっかけに全国的に広がる。02年に所属 レーベル兼事務所「美音堂」が設立され、1stシングル「純愛」、2ndアルバム「あなたへ」をリリース。02年11月、Bunkamuraシアターコクーンでの初のワンマンライブが好評を博す。以後年間5本程度のライブ活動を始め、そのライブには全国からファンが殺到、毎回チケットは完売となる。03年廣木隆一監督『ヴァイブレータ』の劇中に楽曲が使用され注目される。04年12月に初のライブ映像作品「mariko live〜四十雀〜」(DVD)がリリースされる。

Comment

カナリアの小さな声を、私たちは聞きのがしてはならないと思います。

エンディング・テーマ 向井秀徳(むかい・しゅうとく)

佐賀県出身。95年、地元福岡でロックバンド、ナンバーガールを結成。99年、東芝EMIから「透明少女」でメジャーデビュー。国内はもとより、全米でのツアーなどで気迫のあるライブを展開。熱狂的な支持を受けるが、02年に解散。その後、“やりたいことを自由にやる”ために新しいバンド、ZAZEN BOYSでの活動を開始。04年1月には自らのスタジオ「MATSURI STUDIO」でレコーディングしたアルバム「ZAZEN BOYS」を発表。全国でライブ活動を行っている。映画音楽としては、ナンバーガールで、『けものがれ、俺らの猿と』(01/須永秀明監督)、『害虫』(02/塩田明彦監督)を手がけており、ZAZEN BOYSとしては宮藤官九郎監督作品『真夜中の弥次さん喜多さん』(05)の音楽を担当している。

Comment

とても重厚な映画であります。ギブソン・レスポールのサウンドのよう。
塩田カントクはレスポールが絶対似合うはずだ。
映画に参加出来て、とても光栄に思います。

スチール:田尾沙織(たお・さおり)

1980年、東京生まれ。01年日本写真芸術専門学校を卒業。その年の第18回3.3F(ひとつぼ)展グランプリを歴代最年少で受賞し、翌年9月銀座ガーディアンガーデンにて「ビルに泳ぐ」を発表。その後「9.11」跡地、グランド・ゼロやN.Yの町並みを撮影した「GOD BLESS ALL/N.Y.C」を発表、また松久淳+田中渉著書『プール』(03/小学館)のカバー写真を担当するなど、今後の活躍が注目される若手写真家。

Comment

「子供はすごい早さで成長する」クランクイン前にプロデューサーから聞いた言葉です。その時は、一か月なんて短期間でそんなに大きく変わるものなのだろうか?と半信半疑に思っていました。ですが、光一、由希の表情は話の進行と共に、大きく成長していくことが、撮影しながらはっきりと解り、それはフィルムにも焼き付き、毎回ワクワクさせてもらいました。彼等の演技と成長は本当にすばらしかったです。







企画/オフィス・シロウズ 製作/オフィス・シロウズ/衛星劇場/バンダイビジュアル
製作賛助/角川出版事業振興基金信託
配給/シネカノン *日本映画エンジェル大賞受賞作品
2004年/132分/カラー/1:1.85

(C)2004『カナリア』製作委員会